うつ病再発への対処法|重症化しないために必ず行うべき5つのこと

うつ病は再発性の高い病気で、2~3年以内に50%以上の人が再発すると言われています。なんと、再発しない人の方が少ないのです。

しかも再発を繰り返すごとに前回よりも重症化し、治療も長期化する傾向にあるので、我慢せずに早期治療を心掛けるべきです。

うつ病再発時だから判ること

うつ病は一般的に、その症状の度合いから、『軽度』『中程度』『重度』の3段階に分類されます。

喪失や災害といった、よほど強烈なエピソードを伴うストレスでなければ、通常は『軽度』から始まり、『中程度』へと移行していきます。

ただ、初発の場合には、『軽度』の段階で気づくことが難しいようで、自覚症状が出たときには『中程度』まで悪化していた、というケースが少なくないようです。心当たりはありませんか?

しかし「一度経験しているメリット」というと語弊があるかもしれませんが、『軽度』の段階で「おかしいな?」と気付くことができます。

うつ病も他の疾患と同じで、早期治療を行えば短期間で治すことが可能なので、これは大きいと思います。

では、「必ず行うべき5つのこと」を紹介します。

その1.まずは、認めて受け入れる

上記で述べたとおり、うつ病は再発する人の方が多いので、必要以上に落ち込む必要はありません。もう一度治せば良いだけのことです。

そのためにも速やかに、医師に相談してください

そして再発したという診断をされたら、認めて受け入れてください。拒否すればするほど重症化し、苦しむことになります。当然、治療も長期化します。

せっかく治って、何年も無事に過ごしたのに、認めたくない気持ちはよく解ります。

こういった傾向は、治療の途中で「もう治った」と自己判断し、服薬と通院を止めてしまった人に多いようです。または、それほど重症化しなかったのかもしれません。

ある程度重症化し、「こんなに苦しいのなら、死んだ方がましだ」という経験をした人なら、「もう二度と、あんな思いはしたくない!」との思考が働くため、僅かな兆候でも主治医に相談するはずです。

とにかく、認めて受け入れることです。50%以上の再発率なのですから。この前提に立つことが、うつ病再発への対処、ひいては再発の予防に繋がっていきます。

その2.自分の病気を客観視する

うつ病の人にとって、自分の病気を客観視することは、簡単なことではありません。しかし、そうすることによって、「現状では、どういう対策が効果的か」が判るようになります。

これは、うつ病を「心の病気」と捉えていると、難しいかもしれません。かつて、「うつは心のカゼ」と表現し、早期治療を促すキャンペーンがありました。

うつ病は誰でもかかる病気で、早期治療で早く治るという表現としては良かったと思います。「心のカゼ」という言葉は、「精神疾患」と比べると柔らかい表現で、敷居の高い精神科での受診を決意するきっかけになったと思います。

ただ、そうなると、そもそも「心」は何処にあるのか?という、非常に難しいテーマに直面します。それでは客観視するのは無理です。心は、目に見えませんから。

では、「脳の病気」と捉えたら、どうなるか?

うつ病は、ストレスにより脳内で起こる、物理的・生理学的な現象です。

脳の画像を撮れば、『海馬』の萎縮が目視できます。血液の流れを画像で見れば、『扁桃体』が赤くなり興奮していること、『前頭前野』への血流が悪くなっていることが分かります。

これが、客観的に見ることに繋がるのですが、ひとつ例を挙げます。

例えば風邪をひいたとしたら

それは自己診断で風邪だと判るほど、典型的な症状です。くしゃみ・鼻水・頭痛・微熱などでしょうか。これらは主観的に感じる症状ですが、客観的に「これは鼻風邪だな」と判断できます。(※もちろん、自己診断は危険です)

そして、「栄養のある食事を摂り、薬を飲んで、暖かくして寝る」「場合によっては病院に行く」といった、具体的な対策を講じることが出来ます。

なぜかというと、「風邪のメカニズム」と「風邪は治る病気であること」を、私たちは経験的に知っているからです。

ウィルスが体内に侵入し、潜伏期間を経て病気が発症する。白血球がウィルスと闘うためには、栄養と静養をとることが有効であり、ウィルスが全て駆除されれば治ることを。

これは、風邪という病気を、客観的に眺めることができている証拠です。

うつ病も同じように、「うつ病発症のメカニズム」と「うつ病は治る病気であること」を知れば、客観視が可能となり、有効な対策を立てることが出来るようになります。

うつ病のメカニズムについては、こちらをご覧ください。以下で述べることも解り易くなります。

うつ病の原因|ストレスによる『扁桃体(感情)の暴走』が招く脳の機能不全
うつ病は、心の病気ではなく脳の病気です。そして治せます。脳内で何が起きているのか?うつ病の原因を理解すると何が有効な対策なのかが解るようになります。なるべく簡単に解りやすく説明しているので、うつ病の克服に役立ててください。

その3.運動をする

脳の構造

再発直後であれば、まだ脳内での『うつ病のシステム』が、動き出して間もない状態です。

つまり、以下のことが考えられます。

  • 『扁桃体(感情)』は、まだ暴走に至っていない
  • 『海馬(認知)』は、さほど破壊されていない
  • 『前頭前野(理性)』では、血流不足が進行していない

上記のことが進行すると、うつ病を発症します。

これらを解決する有効な手段は、ジョギングやウォーキングのような、『リズム運動』をすることです。ヨガや太極拳でも効果があります。

うつ病が長引くと、『海馬』が委縮することはよく知られていますが、運動で改善することが可能です。

運動をすると、『BDNF(脳由来神経栄養因子)』の分泌が活発になります。『BDNF』は脳の栄養で、神経細胞(ニューロン)の新生を促すので、『海馬』の神経細胞を増やし、太く強くしてくれます。

さらに、新たに血管を形成してくれるため、『前頭前野』への血流が増え、栄養が行き渡ります。『前頭前野』は「脳の最高中枢」と呼ばれ、『扁桃体』の暴走を抑える働きがあります。

『軽度』で気づくことができ、最近運動していないのなら、これだけで治る可能性もあります。(※病院には行ってください)

運動をする、もう一つの目的

これは『運動』により、うつ病が改善されれば必然的に得られる事ですが、「思考力」「判断力」を失わない、という目的があります。

脳内の血流量が不足すると、思考や判断を司る『前頭前野』が機能しなくなるからです。

そうなると、「うつ病再発への対処」が困難になってしまいます。

重要なのは、治らないまでも今より悪化させないことです。最低限の対処を行うために、「思考停止」の状態を避ける必要があります。

その4.太陽光を浴びる

現代社会は、太陽の光を浴びにくい傾向にあり、うつ病との関係も指摘されています。

北欧では季節が冬になり日照時間が短くなると、うつ病患者が増えます。「冬季うつ病」という言葉を耳にする機会も多いと思います。

では、太陽光のパワーとは、どういうものなのでしょうか。

まず、うつ病の人に不足していると言われる『セロトニン』が分泌されます。「癒しホルモン」と呼ばれ、我々に安らぎを与えてくれます。また、『ドーパミン』『ノルアドレナリン』といった、気分に関係するホルモンのバランスを整えてくれます。

更にセロトニンは、『メラトニン』の原料となります。メラトニンは「睡眠ホルモン」と呼ばれ、自然な睡眠へと導いてくれます。

太陽光を浴びてセロトニンを増やすことは、うつ病の改善に大きな効果があるとともに、夜にはメラトニンが増え、適切な時間の睡眠へとつながります。

運動とワンセットにできれば、まさに一石二鳥です。ぜひ太陽の下で、体を動かしてください。

その5.静養する

「運動しろと言ったり、静養しろと言ったり、どっちなのだ?」と思われるでしょうが、静養するのは、精神的な疲労に関わる部分においてです。これ以上、ストレスによるダメージを負わないということです。運動以外は休む、と解釈して頂いて良いと思います。

ストレスに遭遇した時、脳は「闘うか逃げるか」の判断を迫られます。

「そんな大袈裟な」とも思いますが、これは太古の昔の名残で、人類にとってのストレスとは、天敵に遭うなど「生命存続の危機」であったためです。

いわば『扁桃体』が暴走している状態とは、絶え間なく、常に「生きるか死ぬか」の緊張状態にあることになります。それは疲れて当たり前なのです。

更にこのとき、ストレスホルモンである『コルチゾール』『ノルアドレナリン』の過剰分泌が起こります。このホルモンは、脳ではなく副腎で作られるのですが、危機的状況(と脳が感じる状態)で過剰分泌が続くと、副腎が疲弊し、「やる気ホルモン」と呼ばれる『ノルアドレナリン』の生産量が減ってしまいます。

これが、疲れやすくなり、やる気が起きなくなる原因です。

このことからも、静養がいかに必要であるか、お解り頂けるかと思います。

最後に

うつ病を脳科学的に理解することは、客観性を持ち、有効な対処を行う上で大変重要です。

更にこの理解するという作業は、是非とも、ご家族と一緒に行って欲しいです。

ご家族の方も、「どこで何が起こっているのか?そもそも、治る病気なのか?」が分からなければ、不安になるのも当然です。それは、とても大きなストレスです。

そして、ご家族の理解と協力いかんによって、治療期間に大きな影響を及ぼします。

くれぐれも、一人で抱え込まないでください。

また、症状の程度によっては出来ない人もいる可能性があり、本記事に掲載しなかった対処法を、こちらの記事で紹介しています。あわせてご覧ください。

うつ病再発への対処法|もう再発しないために可能なら行いたい3つのこと
今回の記事では、症状の程度によっては難しいかもしれないが、出来れば行って欲しいことを書いていきます。それは次の再発を防止する準備をすることであり、また一歩、うつ病克服に近づくことが出来る筈です。